80億分の1
韓国の個人開発者Jin Hwi-eus氏が作った、ブラウザで遊べる無料の人生シミュレーション。今日生まれる赤ちゃんのひとりにランダムに生まれ、172の国と地域の実際の統計で、その一度きりの人生を最後まで生きます。
『80億分の1』とは
『80億分の1』(英題:1 in 8 Billion、略称1in8b、韓国語の原題:80억 분의 1)は、ブラウザで無料で遊べる人生シミュレーションです。地球ではおよそ1秒に4人の赤ちゃんが生まれていて、あなたはそのひとりになります。どこで誰の子として生まれるかは実際の出生の分布どおりに決まるため、全体のおよそ3分の1の人生はインド、中国、ナイジェリア、パキスタンで始まります。あとはその国の統計に沿って、人生が終わるまで1年ずつ進みます。
スコアも勝ち方もありません。毎年どこに力を注ぐかを選び、進学、仕事、恋愛、海外移住、病院といった分かれ道で決断しますが、選択で変わるのは確率だけです。多くの人生は平凡に過ぎ、赤ちゃんのうちに終わる人生もあり、どの人生もやり直せません。対象は15歳以上。病気、戦争、貧困、暴力、自殺も統計どおりの頻度で起こりますが、場面として描かれることはなく、相談先も必ず案内されます。
2026年10月5日の公開から2週間で172の国と地域、10言語版、348件の更新ノートに達し、『ドラゴンクエスト』の堀井雄二氏や実業家の堀江貴文氏も自分が生きた人生を投稿しました。
プレイ画面






ひとつの人生の流れ
- 生まれる
世界(今日、1950〜2025年の好きな年、未来、またはおまかせ)と、国の決め方(初期設定は出生数、または人口)を選びます。続いて国、都市や村、性別、家族とその経済状況が決まります。お金を払っても抽選結果は変わりません。
- 1年ずつ生きる
標準の長さでは1年が40〜60秒で過ぎます。いつでも一時停止でき、最大16倍速にしたり、オートモードで見守るだけにしたりもできます。ページを閉じても、人生はそのブラウザで続きを待っています。
- 選んで、決める
毎年、勉強、仕事、家族、健康のどれに重きを置くかを選びます。進学、就職、結婚、住まい、移住、治療は選択カードとして現れ、カードには根拠となる実際の数字が添えられています。
- 4人の他人
同じ1秒に別の場所で生まれた4人の赤ちゃんが、同じ統計に沿ってすぐ隣で人生を歩みます。人生がどこまで離れていくのかを見届けることになります。
- 5つの問いかけ
5歳、15歳、30歳、50歳、70歳で時間が止まり、この人生とあなた自身の人生についての問いがひとつ出されます。一言を残すことができ、最後にはその人へ短い言葉を贈れます。
- 人生の終わり
亡くなる年齢はその国の男女別の生命表から、死因はWHOと世界疾病負担(GBD)研究のパターンから決まります。そのあとに死亡記録、人生マップ(1年で1マス)、シェア用カードが表示され、すべて無料です。
どの国に生まれるか:出生の確率
ゲームが誕生時の抽選に使う確率です。出典は国連の世界人口推計2024年版(2023年の出生数は約1億3,200万人)。平均寿命や子どもの死亡率の差も同じくらい大きく、日本は84.7歳・5歳未満での死亡0.2%、ナイジェリアは54.5歳・11.7%です。
作ったのは誰か、どう始まったか
『80億分の1』は、AIと二人三脚で作られた個人開発のプロジェクトです。開発者はJin Hwi-eus(韓国語:진휘어스)という仮名で活動し、Jin's Earthの名前でゲームを運営していて、素性は明かしていません。いちばん詳しい経緯は、韓国の国民日報が2026年10月9日に書面で行い、翌日に掲載したインタビューにあります(記事 ↗)。
- きっかけ
自分の生活圏の外で人々がどれほど違う人生を送っているかを感じてきた開発者は、地球の80億人のうちランダムなひとりになる体験をゲームにしたいと前から考えていました。
- 10月5日:最初のプロンプト
Claudeに送った依頼は、「地球の80億人のひとりとしてランダムに生まれ、その人の一生を生きるシミュレーション。できるかぎり実世界の統計に基づいて」というものでした。
- 約4時間:リンクを公開4時間は最初のプロンプトから公開テスト用のリンクまでの時間で、今のゲームを作るのにかかった時間ではありません。統計モデル、仕組み、言語、修正は、その後348件の更新ノートを通じて増え続けています。同じインタビューで開発者は、始まった人生の約58%が最後までプレイされたと話していますが、総訪問者数は明かしていません。この数字とアクセスの急増は開発者本人の説明で、検証されたデータではありません。
2時間で最初の人生が生まれました(ナイジェリアに生まれ、5歳でマラリアにより死亡)。その晩、開発者がThreadsで制作過程を共有してテスターを募ると、リンクがほしいというコメントが寄せられ、その場でサイトを立ち上げてドメインを取得しました。
- そして広がった
開発者が投稿したのはThreadsだけでしたが、リンクはオンラインコミュニティやX、カカオトークに広がりました。10月7日の1日の訪問数は、前日の7倍近くになったといいます。
制作方法
- モデル
- Claude Opus 5.5(Extra)Threadsに投稿したプロンプト、10月5日 · 集英社オンラインのインタビュー、10月16日
- ツール
- Claudeのチャット。チャットで書いたコードをどうサイトに載せているかは明かされていません。「I only use Claude chat to do everything」、X、10月16日
- 役割分担
- サイトには、文章とコードはAIで書き、何を入れるかは運営者が決めて確認していると書かれています。開発者はAIを、コードを設計した「同僚」と呼んでいます。Aboutページ · 集英社オンライン、10月16日
- 最初の版
- 最初のプロンプトから公開リンクまで約4時間(開発者談)国民日報のインタビュー、10月10日
- グラフィックと音楽
- ピクセルの情景、似顔絵、追悼館は、ゲーム自身のスクリプトがcanvasに描いていて、画像ファイルはありません。穏やかなBGMはブラウザ内で合成されます。ゲームのコードで確認、10月22日 · 更新ノートv0.4.4、10月5日
- データ
- 国連の世界人口推計2024年版、UN IGME、WHO、UN MMEIG、UNDP、UNESCO、世界銀行、ILO、UN-Habitat、UNAIDS、UNODC、UNICEF、世界幸福度報告。所得は国ごとのジニ係数の分布に従い、欠けている値は地域の平均で補っています。統計は最初から用意していたわけではなく、ゲームが育つなかで開発者とAIが調べて加えてきました。Aboutページ
- 技術構成
- フレームワークなしの素のJavaScriptで、言語ごとにスクリプトがひとつ。Cloudflareでホスティングし、コードは非公開のGitHubリポジトリ、決済はStripeプライバシーポリシーと利用規約 · ゲームのコード
- 更新
- 10月5日のv0.1から10月21日のv0.7.98ベータまでで更新ノートは348件、多い日は1日44件。フィードバックやサポートメールはClaudeで読んで仕分けし、返信は開発者がすべて確認してから送っています。ゲームの更新ノート
- 制作費
- 非公開
- 収益
- 無料で、広告も登録もありません。有料なのは、終えた人生を映像、アルバム、追悼館として残せる任意の「思い出パス」(480円)だけで、10月21日からは韓国では販売していません。Ko-fiでの支援は10月8日に終了し、企業からの提案は断っているそうです。更新ノートv0.4.87、v0.5.33、v0.7.96 · 集英社オンライン
著名人の反応
このゲームがいちばん広がったのは日本です。10月13日のAUTOMATONの記事と、キャラクターが亡くなったときに少し泣いてしまったというプレイヤーの投稿をきっかけに話題になり、数日のうちに次の人たちもプレイしました。
けっこう長生きでした。
投稿した人生:タジキスタンの農村に生まれ、92歳で亡くなった男の子。
すごいサイト。
投稿した人生:インドの農村に生まれ、53年間農業を続け、73歳で亡くなった女の子。
こういうゲームがAIで生まれてくるのか。すごい体験だった。これから今まで文学が担っていた一部を、ゲームが担うようになるのかもしれない。
似て非なるものを企画してたけど、「80億分の1」のほうがよくできてる。くやしい。
ゲームなのかどうかは別なのよ。必勝法もなければ勝ち負けもなくて
TBSラジオ『JUNK 伊集院光 深夜の馬鹿力』での発言(Sirabeeの記事より)。
ブラジルの中流家庭に生まれました。こう考えると、日本に生まれることもたまたまとも言えるし、逆に奇跡と言えるかもしれません。
このゲームがかなり優れた資産形成シミュレーターでもある
タンザニアでの人生をプレイしたあと、株式と債券で不況を乗り切った話として書いた記事。
似た人生はあっても、同じ人生はどこにもない。
年表
- Claudeにプロンプトを送信(Threadsに「Opus 5.5 Extra」の表記つきで公開)。約4時間後、韓国語版・141の国と地域で公開され、1in8b.lifeへの移転を含め、この日だけで16件の更新。投稿 ↗
- 英語版を公開(v0.4.41)。開発者が最初の24時間を振り返り、この時点で更新は42件。投稿 ↗
- 思い出パスと追悼館を追加(v0.4.87)。
- 過去(1950〜2025年)と未来の世界を追加(v0.5.20)。Ko-fiでの支援受付を終了(v0.5.33)。
- 日本語版を公開(v0.5.81)。開発者が国民日報の質問に書面で回答し、翌日インタビューが掲載。記事 ↗
- 死因に自殺を追加(v0.6.36)。10代以降に実際の割合で起こり、場面としては描かれず、選択肢にもなりません。公開時は入っていませんでしたが、10月14日に開発者はXで、外すことはそうした人生を消すことになると説明しました。返信 ↗
- 日本で一気に話題に。AUTOMATONが報じ、堀江貴文氏が自分の人生を投稿。
- 141から172の国と地域に拡大(v0.6.95)、繁体字中国語版を公開(v0.7.2)。Business Insider Japanが資産形成シミュレーターとして紹介。
- ベトナム語版を公開。最初の画面に、AI(Claude)で作ったゲームであることを明記(v0.7.10)。台湾のメディアが取り上げ、開発者は台湾と香港のユーザーが韓国より多くなったと発言。一部の内容が偏っているという指摘には、個人の偏りがデータに影響しうることを認め、意見を募りました。
- 堀井雄二氏が人生を投稿。集英社オンラインがこれまでで最も長いインタビューを掲載し、開発者は「I only use Claude chat to do everything」と投稿。投稿 ↗
- フランス語版とタイ語版を公開。
- 簡体字中国語版、スペイン語版、ドイツ語版を公開。
- v0.7.98ベータ。韓国では思い出パスの販売を終了(v0.7.96)。
- 引き続き公開中で、無料・登録なしで遊べます(TryAIgame調べ)。
メディア掲載
- 国民日報韓国 · 2026年10月10日“한국에서 태어난 건 축복이다” 입소문 탄 ‘80억 분의 1’ 뭐길래 ↗開発者への書面インタビュー:最初のプロンプト、4時間、自殺の扱い
- AUTOMATON日本 · 2026年10月13日“統計に基づくリアル人生”シミュレーター『80億分の1』大流行中。生まれはガチャで生き方は自分次第、生々しい人生見守りブーム ↗日本で話題になるきっかけの記事
- 電ファミニコゲーマー日本 · 2026年10月14日生まれる場所を“選べない”人生シミュレーションゲーム『80億分の1』が話題。「死んだ時に泣いてしまった」「幸せってなんだろう」などの声が寄せられる ↗プレイヤーの声
- Business Insider Japan日本 · 2026年10月14日「80億分の1」をプレイして、“資産形成”の意味を知ったかもしれない ↗資産形成の教材として読む
- AUTOMATON日本 · 2026年10月14日大流行中“人生ガチャ”シミュレーター『80億分の1』、実はアプデで「自殺エンド」が入っていた。開発者は当初は葛藤し見送り、でも“生き方を除外しないため”実装 ↗自殺が追加された理由
- 數位時代(Business Next)台湾 · 2026年10月15日80億分之1遊戲是什麼?AI開發4小時完成,玩法與免費體驗網址一次看 ↗どんなゲームか、遊び方、プレイ先
- NOWnews台湾 · 2026年10月15日《80億分之1》人生模擬遊戲台日韓爆紅!韓國開發者親揭理念 ↗国民日報のインタビューから見る開発者の考え
- THISTOKYO日本(英語) · 2026年10月15日"1 in 8 Billion" Is Trending: A Life Simulation Game Where You Can't Choose the Country You're Born In ↗
- 集英社オンライン日本 · 2026年10月16日「死んだときに泣いた…」国も親も選べず、やり直しもできない“理不尽な人生ガチャ“ゲーム”が世界で大反響 『80億分の1』開発者を直撃 ↗最も長いインタビュー:Opus 5.5、4時間、同僚としてのAI
- イーデイリー韓国 · 2026年10月17日태어나는 순간부터 갈리는 삶…스레드 달군 ‘80억분의1’ ↗10回以上人生を生きた記者の体験記
よくある質問
『80億分の1』は無料ですか?
はい。どの人生も結末まで無料で、登録も広告もありません。有料なのは、終えた人生から映像、アルバム、追悼館を作る任意の思い出パス(480円)だけで、韓国では販売されていません。
誰が作ったゲームですか?
韓国の個人開発者の仮名、Jin Hwi-eus(韓国語:진휘어스)です。Jin's Earthの名前でゲームを運営し、素性は明かしていません。AIと二人三脚の個人開発で、XとThreadsでは@jins__earthとして発信しています。
どのAIで作られていますか?
開発者によると、ClaudeのチャットでClaude Opus 5.5(Extra)を使っています。サイトには、文章とコードはAIで書き、何を入れるかは運営者が決めて確認していると書かれています。
作るのにどれくらいかかりましたか?
開発者によると、2026年10月5日に最初のプロンプトを送ってから公開テスト用のリンクまで約4時間です。これは最初の版の話で、その後ほぼ1時間ごとに更新され、17日間で更新ノートは348件になりました。
実際のデータに基づいていますか?
公開されている統計の範囲で基づいています。出生と平均寿命は国連の世界人口推計2024年版、子どもの死亡はUN IGME、死因はWHOと世界疾病負担研究、所得は世界銀行などです。開発者は限界も明かしていて、多くの数字は国の平均であり、最も貧しい地域ほどデータが少ないとしています。
生まれる場所は選べますか?
選べません。国は出生数(選べば人口)に基づいて抽選され、お金を払っても変わりません。実際に生まれた場所を入力して、2つの人生を比べることはできます。
ひとつの人生にどれくらいかかりますか?
その国の平均寿命まで、約30分、1時間(初期設定)、1時間半から選べます。一時停止や最大16倍速ができ、ページを閉じても同じブラウザで続きから遊べます。





